2015.7.18 【月山 山行】ほぼ雨中。されどさすがは花の百名山

海の日3連休は、少しでも梅雨前線を避けるために東北方面へ。
月山と鳥海山の2山をS君とH君とやっつける計画である。
コバイケイソウ咲く月山の稜線を往く
おりしも台風11号が襲来し、天気予報に一喜一憂する山行前の1週間であった。
しかも、今回は久しぶりのテン泊計画でもあるため、なるべくなら雨中のテンパリは勘弁して頂きたいところである。
とは言え、テン泊こそ、われら元幕営旅行部の面目躍如。
H君なんか暴風雨の中でポール押さえて寝ることも出来るし。
S君なんて傘一本で3,000mの稜線でビバークできるし。
私なんて風雨の中でラジ焚けるし。メタがあればだけど。

とりあえず、まずは最初の目的地の月山である。もちろん日本百名山であり、花の百名山でもある。
イメージとしては、修験道の山というイメージが強い山である。
出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)のひとつで月読命(ツクヨミノミコト)を祀ってある。
月読命は太陽を象徴する天照大神の弟とという事になっているが、今ひとつ何をしたのかよく分からないのである。
であるが、私はセーラームーン20周年プロジェクトの一環として月山に登るのである。
写真はすべてクリックで拡大します。
自宅を出たのが朝3時33分。
S君の運転で東北道を北上する。東の空の朝焼けが不気味な感じである。
不気味な朝焼け(東北道 車窓から)
村田ジャンクションで山形自動車道に入り、山形、天童を抜け、月山インターチェンジで自動車道を降り、姥沢口の駐車場に9時半近くに到着する。

月山の登山ルートはいろいろとあるが、今回は姥沢口から登る。
リフトを利用するこのルートは、全ルート中最短で月山山頂に至るルートである。

姥沢駐車場は空いていた。風はないが小雨が降っている。地元の人はあえてこんな日には来ないのであろう。
景色に期待はできないが、花には期待ができそうだ。

ということで、傘をさして出発。リフト乗り場へと向かう。
途中に検問?ありて美化協力金1人200円を支払う。
(個人的には山の自然保護のための入山料は必要だと思っている。ボランティアでの自然保護には限界があるだろう)

このあたりからすでに花がいろいろと咲いており、花の百名山への期待は高まる。
ミヤマホツツジ
ウツギ
ニッコウキスゲ
程なくリフト乗り場に到着。
ここも我々のほかには登山客もおらず閑散としている。
リフトで1,250mの麓駅から1,500mの頂上駅まで登る。
傘を差してリフトに
昔からあるペアリフトです
リフトを降り、併設の休憩所で身支度を整え、出発。
いよいよ月山を目指す。
リフト頂上駅から登山道を眺む
濃い霧というか低く垂れ込める雲の中を、まずは姥ヶ岳(1670m)を目指す。
晴天ならきっと「月山」が見えるはず
木道が整備されているが、深雪地帯でもあり、ところどころ雪渓が木道を分断している。
バリエーションのある山道を楽しみながら、あっというまに姥ヶ岳に到着する。
花に囲まれた木道を進む
雪渓を快適に登る
ここ姥が岳に至る登山道にも、ニッコウキスゲ、チングルマ、コバイケイソウ、ヨツバシオガマ、イワイチョウなどの高山植物の有名どころが登山道を彩る。
ニッコウキスゲ咲く姥ヶ岳に到着

イブキトラノオ

ヨツバシオガマ
コバイケイソウ
チングルマ(花)
これもチングルマ(果穂)
同じくチングルマ(果穂)
イワイチョウ
エゾノマルバシモツケソウ
そして、見つけましたよ。ウスユキソウ。
やっぱヨーロッパもんより清楚な感じでいいですね。エーデルワイスより薄雪草です。名前も良いですね。
ミヤマウスユキソウ

このあたりで少し天気も回復。ようやく視界が開け、我々はお花畑の中をぐんぐん登っていく。
雲が切れ、素晴らしい稜線が見えてきた
右手奥が目指す山頂だが
雪を踏みしめ我が隊は進む
ここからはハクサンシリーズ
ハクサンシャクナゲ
ハクサンフウロ
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
ハクサンチドリ

ミヤマコウゾリナ(?)
アカモノ
イワカガミ
アオノツガザクラ
ウメバチソウ
花々を楽しみながら、歩き始めて1時間半ほどで牛首に到着する。(峠みたいなところに牛首という地名が多く残っているが、調べると大陸系由来の地名らしいので詳しいことは割愛)
月山方面は雲に覆われたままだが、振り返ると登ってきた綺麗な稜線が展望できる。
ミツバノバイカオウレン
ショウジョウバカマ
シダの芽
コバイケイソウ
ベニバナイチゴ
ウラジロヨウラク
ミヤマウツボグサ
タカネアザミ
花に囲まれた稜線を歩く。
突如、地蔵が現れた。鍛冶小屋跡とのことである。
古くから月山は開山しており、昔はいろいろな施設が設けられていたことが分かる。

延命地蔵(無論地蔵はしゃべらない)
ダイモンジソウ
キタヨツバシオガマ
トモエシオガマ
ミヤマキンバイ
このあたりから風雨強くなり、芭蕉の句碑 「雲の峯 いくつ崩れて 月の山」を通過するも撮影ができなかったことが残念である。
そしていよいよ月山の頂上に到着。
月山山頂。ここから先は撮影禁止。
月山神社本宮の鳥居をくぐり、500円を支払い、登拝認定証とお守りとひとがたの紙を頂く。
神主さんが「かしこみかしこみ」のお清め祝詞をやってくれます。そして穢れの乗り移ったひとがたを水の入った鉢に流します。
あとで調べるとお守りケースが100円で売っていたらしいのですが、私のお守りは雨に濡れてぐちょぐちょに。罰当たるかも。

本宮に二礼二拍手一礼して、月山(1984m)登頂は終了。
濡れてしまった登拝認定証とお守り
ただし、月山の三角点はこの本宮の裏手にあるとのこと。
たぶん、昔から頂上に本宮が設けられているので、畏れ多くて三角点を打つ場所を裏手に設けたのでしょうね。
ミヤマキンバイ咲く裏道を抜けて一等三角点(1979.8m)を触りに行く。
ミヤマキンバイ
本宮裏の三角点を駆け抜ける
本当は頂上付近で昼食を摂る予定であったが、風雨なおも強く、適当な休憩場所も無かったので、逃げるように下山を開始。

牛首からは、往路とはルートを変え、姥ヶ岳を通らないルートを選択。
木道と雪渓のコースを快調に下山。
少し雨が止んできたので途中の休憩場所で昼食。
霧の中を下山開始
小雨になったので昼飯準備
もう、何も見えねえ
雪解け直後の木道
多くの雪渓が残っている
木道は雪渓で分断されている
昼食後、最後の下りは30分ほど。
予定時間より大分早く、無事にリフト駅に到着したのであった。

雨はいまだ降り続いていた。

最後に課題は残っている。本日の我々のテン泊計画は一体どうなったのか?
(続きは後半「鳥海山山行」にて詳報)


今回のレポートは山行報告というより、花図鑑のようになってしまった。
雨の中での山行ではありましたが、梅雨明け間近の花々の咲き誇る時期に訪れることができて満足でありました。
月山は、やはり花の百名山でありました。
本文中の花の名前については、もしかしたら一部誤りがあるかも知れませんがご容赦ください。

本稿の結びとして、無視してしまった「松尾芭蕉翁」の奥の細道の一部を紹介して、今回の山行を終えることとしよう。
「雲霧山気の中に氷雪を踏んで登ること八里、更に日月行道の雲関に人かとあやしまれ、息絶身こごえて、頂上にいたれば日没して月顕わる。」
そして、詠んだ句。
「雲の峯 いくつ崩れて 月の山」

<山行記録>
日程:2015年7月18日(土) 日帰り(鶴岡泊)
同行者:Sさん、Hさん
天候:雨時々曇り時々風雨強し

当初計画:姥沢駐車場(9:21)-発(9:41)-リフト下駅(9:56)-(リフト)-リフト上駅(10:08)-発(10:13)-姥が岳(10:43)-発(10:48)-牛首(11:38)-月山山頂(12:38)-(昼食)-発(13:38)-牛首(14:28)-下山口分岐(14:48)-リフト上駅(15:18)-発(15:23)-(リフト)-リフト下駅(15:35)-姥沢駐車場(15:50)

コースレコード:姥沢駐車場(8:30)-発(8:47)-リフト下駅(9:00)-(リフト)-リフト上駅(9:21)-発(9:33)-姥が岳(10:00)-発(10:12)-牛首(10:53)-発(11:00)-月山山頂(11:58)-(登拝)-発(12:25)-牛首(13:00)-中間地点(13:13)-(昼食)-発(13:40)-リフト上駅(14:10)-発(14:17)-(リフト)-リフト下駅(14:30)-姥沢駐車場(14:43)

実歩行時間:3時間40分